Ogawa Lab

Ogawa Lab

Advance Network研究内容

写真の説明を入れます

研究の背景と狙い

従来の携帯電話網やインターネットとは特徴の異なるネットワークが注目されています.例えば,4G/5GのSidelinkです.Sidelinkでは携帯電話の基地局が調整し,自動車と路肩のセンサ,歩行者の端末などが無線で直接通信できる一時的なネットワークを構成することが可能です.各端末が,センシングした情報や計算リソース,通信リソースなどを融通しあうことで,安心安全な自動運転や,危険回避,相互見守りなどの高度なIoTサービスを実現できると期待しています.
また,様々な軌道をとる多数の衛星により動的にトポロジーが変化する衛星間通信ネットワークも注目されています.衛星間通信ネットワークを中継網として使用することで,海上や山間地,宇宙空間など従来インターネットアクセスができなかった場所からも,高速で安価なインターネット接続が実現できると期待されています.
本研究テーマでは,それら,従来のネットワークとは特徴の異なるネットワークを効率よく構成し,高品質でセキュアな通信を可能とする技術の創出を目指しています.

研究成果

(1)基地局(TTP)の支援による否認防止可能なブロードキャスト認証技術

安心安全な自動運転を実現するためには,近辺の自動車や路肩のセンサー間でセンシング情報を素早く共有し,危険回避を行う仕組みが必要です.情報共有の遅延時間を短縮するためにはブロードキャストによる端末間の直接通信が有効ですが,第三者による改ざん防止と,送信者による否認防止が必要です.従来,ブロードキャスト認証技術として,ユニキャスト通信のMAC認証を拡張したTESLA認証技術が提案されていましたが,否認防止ができない問題がありました.提案手法では新たに否認防止用のMACヘッダを追加し,基地局がTTPとしてブロードキャストパケットをモニタすることで,送受信端末の計算量をほとんど増加させずに否認を防止可能としました[6].

(2) TTPが存在しない環境での否認防止可能なブロードキャスト認証技術

上記手法では,TTP(基地局)の存在が前提となっていますが,SideLink技術では基地局が存在しない環境でも端末間で直接通信できる仕組みがあります.よって,基地局(TTP)が存在しない環境での解決手法も必要です.そこで,端末同士が相互にブロードキャストされるセンシング情報をモニタし受信した情報の要約データを受信した証跡として相互に交換することで,TTPが存在しない環境でも否認を困難とする手法を考案しました.提案手法では,情報の要約にマークルツリーを使用することで交換するデータ量を極小化します.またブロードキャストパケットのハッシュ値の冗長符号を次のパケットに付与することで,パケット損失があっても送信の証跡として有効に使用できるように工夫しています.本成果は2024年3月の信学会総合大会で発表しています[7].

(3) クラウド制御DTN

DTNとは,Delay Tolerant NetworkまたはDisruption-Tolerant Networkの略称で,継続的なネットワーク接続が不可能な極限的環境や移動環境で端末間での情報共有を可能とする通信形態を示します[1].被災地や宇宙空間など,LTEや5Gなどの長距離無線通信は使用できないが,Wi-Fiなどの短距離広帯域無線通信は使用可能な状況で,すれ違う端末間でデータ転送を繰り返す事で,宛先までデータを届ける手法です.DTNの研究は長い歴史があり,今後自動運転や車車間通信で使用されるIntelligent Transport Systems(ITS)への応用も期待されています.ただし,従来のDTN技術は,局所的なトポロジー情報などに基づく分散制御によりデータ転送を行うため,宛先までの遅延時間やデータ到達率が保証できない,消費電力が大きい,などの課題があります.
一方,通信費用が極めて安価で,また基地局がコンパクトなため激甚災害にも強い,LPWA通信サービスが実用化されました.LPWA通信は,データ量の少ないIoTサービス向きですが,端末の位置情報程度であれば十分に転送可能です.
そこで,小川研では,端末間のデータ転送は高速で通信費用のかからないWi-Fiで直接転送し,その経路はLPWA通信などによって集中制御することで,従来のDTNよりも短時間かつ高いデータ到達率でデータ転送が可能となると考えました.小川研が提案中の「支援基盤」と組み合わせて,IoTマシンからクラウドへのファイル回収や,クラウドからIoTマシンへのファイル配信に適用することで,既存DTNの手法と組み合わせるよりも大幅に転送遅延時間やファイル到達率を改善できることを示しています[2][3][4][5].

研究状況と予定

マイナンバーカードを活用した新しい認証サービス

今後,マイナンバーカードを使用することでオンライン/オフラインを問わず,本人認証を厳密に実施できるようになります. 現状は,(1)ルートCAがwindowsやiOSなどの主要OSにプレインストールされておらず,マニュアルで設定が必要,(2)署名時にマイナンバーカード本体が必要なため,外出先で使用する場合紛失などの懸念がある,(3)マイナンバーカードによる署名を有効とみなすサービスが少なくユーザのメリットが低い,などの課題があります.しかし今後,(1)についてはwindowsやandroid, mac, iphoneなどへのプリインストールが期待され.(2)についてはandroidアプリでアプリ用公開鍵を生成しマイナカードによる署名を保存することで,マイナカードを持ち歩かずに本人認証が可能になる見込みであり,(3)については,今後様々なネットサービスがマイナカードによる本人認証を用いたSS0に対応する見込みです.よって今後急速にマイナカードの活用が進むと見込んでいます.
そこで,将来を見込み,マイナカードの活用方法の研究を進めています.例えば,匿名で属性のみを認証する手法,特に,TTPとの通信不要な匿名での属性認証技術などを検討中です.

参照文献

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/遅延耐性ネットワーク
  2. Takeshi Ogawa, Taichi Yoshimura, and Noriharu Miyaho, "Cloud Control DTN Utilizing General User' Smartphones for Narrowband Edge Computing," IEEE World Forum on Internet of Things 2018, pp. 19-24, Feb. 2018.
  3. 小川猛志,"[依頼講演]LPWANとスマートフォンを活用したマシン支援基盤 ~ 研究開発状況のご紹介 ~," 信学技報, vol. 119, no. 107, NS2019-73, pp. 151-152, 2019年7月.
  4. Takeshi Ogawa, Taichi Yoshimura, and Noriharu Miyaho, " Large Data Download Method for IoT Machines Using LPWAN and General User’s Smartphones," IEEE international conference IoTaIS 2018, pp. 59-65, Nov. 2018.
  5. 吉村太一, 小川猛志, "次世代IoTに向けたマシン-クラウド間大量データ転送技術に関する研究," DPSWS2018, 佐賀, Nov.2018.
  6. 河西孝明,小川猛志,"Non-Repudiation Broadcast Authentication Methods for C-V2X Communication," ICETC2022, Tokyo, Nov. 2022.
  7. 上田 壱雅, 小川 猛志,"低計算量で同報通信の否認を防止する方法の検討," 2024信学会総合大会, 広島, Mar. 2024.

<< 前のページに戻る

Copyright© Ogawa Lab All Rights Reserved. 《Web Design:Template-Party》