Ogawa Lab

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Block Chain応用方法の研究

電子投票

研究の背景と狙い

ブロックチェーンは,電子マネーにとどまらず,電子投票,IoTリソース管理,スマート契約など,様々なサービスの基盤となる技術として,世界中から大きく期待されています.
小川研では,以下の応用などを例題として設定し,ブロックチェーン技術の可能性を追求しています.

(1)不正が出来ない電子投票システム

ブロックチェーン技術の適用により,電子投票結果の改ざんを防ぐ電子投票システムが複数実現されています[1][2][3].ただし,投票者の本人性の確認や多重投票の防止までも分散化し,選挙管理者や投票者間で結託があっても不正を防止できるシステムは実現されていないと考えています.
小川研は,それらの課題を解決し,かつ,投票者が数10万人程度の大規模な選挙にも適用できる電子投票システムの実現を目標に研究に取り組んでおり,研究状況を信学会学生会で発表しています[4].

(2)マイナカードを活用した多要素認証可能なブロックチェーンコントラクト

近年,ブロックチェーンで管理される仮想通貨やNFTなどの資産の盗難被害が増加しています.Ethereumで今後実用化予定である Account Abstraction機能を活用し,ブロック外の集中サーバ(Bundler)に認証を実施させることで当該Bundlerが処理できる任意の認証手法をブロックチェーン上の取引の認証に組み合わせる仕組みが提案されています[5].ただし本手法は,トラストフルな Bundlerが必要であり完全な非中央集権型とは言えません.また,現状のイーサリアムの仕様に依存しています.そこで,マイナンバーカードの電子署名を利用し本人認証を行う機能をスマートコントラクトで実現することで,ユーザの負担を極力増やさず既存ブロックチェーン上の資産の盗難被害を削減する汎用性の高い仕組みを提案しています[6].

(3)不正ができないランキングシステム

google検索や,レストランのランキングサイト,中国の「社会信用システム」など,様々なランキングシステムがあります.システム運用者は公平なランキングを主張しますが,従来の集中制御型のランキングシステムでは,システムの運用者以外がシステムの公平性を検証できる手段がありません.
小川研は,ブロックチェーンを適用することで,ノード間で結託があっても不正を出来ず,かつ誰もがその公平性を検証できるランキングシステムを構築できると考え,今後検討を進める予定です.

今後の予定

国際会議発表を目標に検討中です.

参考文献

  1. つくば市で実施したマイナンバーカードとブロックチェーンによるネット投票
  2. Carcia, et al., "Blockchain-based system for e-voting using blind signature protocol," 2021 IEEE GLOBECOM.
  3. Bistarelli, et al., "An E-Voting System Based on Tornado Cash," ETAA 2022, Springer.
  4. 渡辺拓斗, 小川猛志, "ブロックチェーンを用いたトラストレス匿名選挙システムの検討," , 信学会東京支部学生会 2023年度研究発表会, 2024年3月2日, on line
  5. マイナンバーカードを活用した web3 ウォレットのご紹介
  6. 神野ひかり, 小川猛志, "マイナンバーカードによる本人認証可能な ERC721コントラクトの設計," , 信学会東京支部学生会 2023年度研究発表会, 2024年3月2日, on line

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